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ベロ・モンチ・ダム(シングー・ダム)について

広大な大地と豊富な淡水に恵まれたブラジルは、大型の水力発電ダムを数多く建設している。アマゾン地方には、現在2つの巨大ダムが稼動している。トカンチンス河のツクルイ・ダムは、2850平方キロ(東京都の約1.3倍)もの熱帯雨林を水没させた。次いで湖水面積が大きいのがアマゾナス州のウァトマン川のバルビーナス・ダムで、2360平方キロ の熱帯雨林を消し去った。世界の環境保護派からは、大きな批判を浴びている。

シングーの巨大ダム計画は、1980年に見取り図が作られた。当時の計画は、シングー河の最後の急峻に近いベラ・ヴィスタに巨大堰堤、ベロ・モンチ村付近に発電ダムを築くという構想で、水没する面積は1800平方キロ、パキサンバ族のインディオ村を始め、先住民保護地区のいくつかが水没するというものだった。

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旧シングー・ダム計画

1988年、カイヤポー族のリーダーのパウリーニョ・パイアカンらが、USAフロリダ大学で行われた熱帯林シンポジウムで、シングー・ダム湖工事の反対を訴えた。
1989年2月、シングー河畔のパラ州、アルタミラで「第一回シングー・インディオ集会」が開催された。インディオ界の大酋長ラオーニ・メトゥティレを始め、アイルトン・クレナック、パイアカンなどを代表とする約650人のインディオ、反対派の人たち、ジャーナリストなど3000人が集まった。イギリスのロック・シンガーのスティングもいた。一説だが、彼は先住民村でアマゾン秘薬を一発やって密林のスピリットたちとコンタクトし、熱帯雨林保護に傾倒したと伝えられている。
スティングはその後、ラオーニと共にアマゾンの自然危機を訴えるワールド・ツアーを始め、1989年5月には日本にもやって来た。そして、シングー・ダム工事に協力する予定だった世界銀行が融資を取りやめ、とりあえず計画は葬られた。

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スティングとラオーニ

現ブラジルの女性大統領ジルマは、発電ダム計画の推進派である。2010年に就任した新大統領は、早々に新ベロ・モンチ・ダム計画を進めた。過去に葬られた苦い経緯があったため、計画には新版が刷られた。

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新シングー・ダム計画

 新計画では、①のメイン堰堤(ピメンタル・ダム)をアルタミラ下流40km地点に建造し、山野を削り新しい水路を掘って水没させる(図のピンク部分)。そして②の発電専用ダム(ベロ・モンチ・ダム)に主要流水を送る。水漏れしてしまう部分③に調節の堰堤(ベラ・ヴィスタ・ダム)を作るという三段・変則型になっている。予定発電量は、11233メガワットとたいへん大きい。ブラジル・パラグァイ共同のイタイプー・ダムの発電量に僅かに劣るが、内国ダムではブラジル最大となる。新計画の工事は、海外の融資に頼らず自国でまかなう算段なので、政府は強気である。

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ベロ・モンチ・ダム完成予想イラスト

 新シングー・ダム計画にも当然、反対運動があがっている。その旗頭は、2009年の3D・SF映画で大ブレークしたアバターの監督ジェイムス・キャメロンである。

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アバターの一場面

ご覧になった方はお分かりと思うが、アバターは、アマゾン先住民と文明人の対立をイメージとしたストーリーになっている。キャメロンは、2010年4月に主演女優のシガニー・ウィーバーと、2011年3月に元USAカリフォルニア州知事アーノルド・シュワルツネーガーと一緒にアルタミラとインディオ村を訪れ、シングー巨大ダム計画に世界マスコミの眼を向けさせた。他にカトリック教会も反対の表明を挙げている。

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女優のシガニー・ウィーバーとキャメロン

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キャメロン、シュワルツネーガー、ラオーニ、シングー下流のインディオ村にて(写真提供:Xingu Vivo)

反対派のキャンペーンがどのように計画を動かすか未知数だが、現時点でベロ・モンチ・ダムは、2011年からすでに工事が着工されている。最も懸念されるのは、熱帯魚インペリアルゼブラプレコの野生群の存続である。ダムによる影響を強く受けるのは、水から逃げることのできない魚類に決まっているが、インペの天然の生息地は、アルタミラ下流からベロ・モンチまでにほぼ限られている。そのため、魚類の中でも本種が最も危機にさらされることは確実。絶滅の可能性もあると思われる。

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野生のインペリアルゼブラプレコ

2011年9月にブラジル連邦裁判所は、シングー・ダム工事中止を裁定したが、現場での工事は変わらず続いている。
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