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ホプリアスの大研究・その4

B1.ホプリアス・ラセルダエ
Hoplias lacerdae


ラセルダエ種は、リオ・デ・ジャネイの国立博物館の動物学者ミランダ・リベイロによって1908年に記載された。
前述した検索キー、すなわち下顎のパッチと側線鱗数の他にも特長がある。それは、真正タライロン(アイマラ・グループ)を除いた、他のホプリアス種よりも、ずっと大型に成長することである。最大サイズは、15キロ、あるいは20キロ以上とされている。26キロという記録も残されている。現地で、タライアスー、あるいはタライーラ・アスーと呼ばれていた。

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ホプリアス・ラセルダエのホロタイプ標本(標準体長約75センチ)

上写真は、リオ・デ・ジャネイロ博物館のMARJ211の標本ナンバーが記されているリベイラ・デ・イグアッペ川産のホロタイプ(原記載の基準となった標本)である。標準体長(吻先端から肛門まで)で75センチあるということは、全長は1メートルを優に超えているから凄い。しかし、残念ながら、現在ではこのように巨大化した個体は、もう見られなくなってしまった。どうして巨大個体が消えてしまったかは、豊富なエサが同河川から枯渇したからだろうと考えられる。
ホプリアス・ラセルダエの天然分布地は、3箇所に分かれている。一つは、原記載地であるサン・パウロ州のリベイラ・デ・イグアッペ川(分布地図の上にある3つ)。もう一つは、ブラジルのサンタ・カタリーナ州とリオ・グランデ・ド・スル州(分布地図の中ほどにある4つ)、そしてウルグァイとアルゼンチンに流れる、ラ・プラタ河水系のウルグァイ川(分布地図の下側にある7つ)である。ウルグァイ川の群は、他群と側線鱗の並び方に僅かな違いが見られるらしい。
ウルグァイ川のラセルダエ個体群は、全長50センチ級以上がけっこう数が多いようである。確認されている最大の個体は、ウルグァイ国内のセーロ・ラルゴという場所で捕獲されたもので、標準体長は、506mmであるから、全長は70センチほどと推定できる。リベイラ・デ・イグアッペ川のようなメートル級20キロの怪物の報告はまだないが、体重8キロ級は生息している。

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ホプリアス・ラセルダエの大型個体は、濃黒を程することが多いようだ(ウルグァイ川)

B2.ホプリアス・ブラジリエンシス
Hoplias brasiliensis


ブラジリエンシス種は、東北ブラジル地方のバイア州でドイツ人の動物学者スピックスらが採集した標本を基にして1829年にルイス・アガシが記載した。
前述した検索キーのように、下顎にあるパッチは単独の小孔で、基本は5個(数パーセントの確率で4個と6個が出現する)である。側線の鱗数は、38~43(40~42が最も多い)である。
ホプリアス・ブラジリエンシスは、側面から見た頭の先端が、やや尖り気味という特徴を持っている。他に、頭部からボディの体色は茶色系で、灰色を程さないことも特徴である。

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ホプリアス・ブラジリエンシスは、側面観で吻がやや尖っている

上写真は、ネオタイプ(ホロタイプと比較できる記載標本)で、標準体長163mmの標本である。この個体は、ブラジル、バイア州のパラグアスー川で採集された。記録されている最大の標本は、標準体長273mmで、全長は40センチ弱だろう。もう少し大きな個体もいると思われる。
ホプリアス・ブラジリエンシスが生息するのは、ブラジル東北地方の大西洋海岸線の地帯(分布地図)である。北端のパラグアスー川から始まり、サン・フランシスコ河の下流部を経てドーセ川に至り、ジャキチニョーニャ川を南端とするとされている。

B3.ホプリアス・インテルメディウス
Hoplias intermedius


インテルメディウス種は、ドイツ生まれのギュンターが、1864年に大英博物館で記載したホプリアスである。ルイス・アガシが記載したホプリアス・ミクロセファルスは、本種のシノニム(別名同種)とされている。
下顎にあるパッチは単独で、4個~6個(5個が最も多い)である。側線の鱗数は、42~46(43~44が最も多い)である。
側線鱗の数が前述のブラジリエンシス種より多いことを特徴にしているが、それ以外の点では、両種はよく似ている。側面から見た頭の先端が、やや尖り気味であり、頭部からボディの体色は茶色系である。

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ホプリアス・インテルメディウスは、側線鱗数以外はブラジリエンシス種によく似ている

上写真は、標準体長169mmの標本である。この個体は、ブラジル、ミナス・ジェライス州のサン・フランシスコ河水系のスイアスー・ペケーニョ川で採集された。
ホプリアス・インテルメディウスの天然分布地(分布地図)は、東北ブラジル地方のサン・フランシスコ河の広域が中心地で、どちらかといえば中上流部に分布している。サン・フランシスコ河の源流部は、ラ・プラタ河水系のパラナ河源流地帯と接している。パラナ河の上流部にも、本種の分布がある。その他に、独立河川のドーセ川やパライーバ・ドスル川からも報告がある。

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標準体長が、533mmあるホプリアス・インテルメディウスの標本

上写真は、記録されている最大の標本である。標準体長533mmで、全長は70センチを超えるから、なかなかに巨大である。この個体は、ブラジル、ミナス・ジェライス州、サン・フランシスコ河水系のシッポー川で、かなり古い時代に採集された。現在、このような超大型は少ないようだ。
前述したように、ホプリアス・インテルメディウスは長い間、ホプリアス・ラセルダエと混同されていた。なかなか巨大なサイズに成長するし、側線鱗数も一部が重複している。下顎のパッチ数は少しズレているが、6個の部分がわずかに重なる。外見上の唯一の判別点は、より尖った頭部の形状かと思われるが、かなり微妙である。いずれにしても、ラセルダエ、インテルメディウス、ブラジリエンシスは、かなり近縁関係にあるのだろう。

B4.ホプリアス・アウストラリス
Hoplias austraris


アウストラリス種は、サン・パウロ大学のオヤカワ&マトックスによって2009年に新種記載された。その分布地が、同属の中で最も大陸の南部に偏っていることが、種小名アウストラリス(南方の)の由来となった。
下顎にあるパッチは大きな単独で、数は、必ず5個である。側線の鱗数は、40~45(40~42が最も多い)である。この検索キーの他に、側面から見た頭の先端が、やや丸いという特徴を持っている。頭部からボディの体色は、茶色系もあるが、しばしば暗い灰色を程する。

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ホプリアス・アウストラリスは、側面から見た頭の先端が丸い

上写真は、ホロタイプで、標準体長220mmの標本である。この個体は、ブラジル・サンタ・カタリーナ州のアンタス川で採集された。記録されている最大の標本は、標準体長253mmで、全長は35センチくらいだろう。
ホプリアス・アウストラリスの天然分布地は、ラ・プラタ河の支流ウルグァイ川の上流(分布地図)である。この付近の流れには、甲殻類のタンスイコシオリエビが生息している。本種もそれを捕食している可能性がある。

ホプリアス・クルピラ
B5. Hoplias curupira


クルピラ種は、オヤカワ&マトックスによって2009年に、アウストラリス種と同時に記載された新しいホプリアスである。種小名は、アマゾンを始めブラジルに広範囲に居住していたトゥッピ系インディオの伝説にしばしば登場する密林の小悪魔からもらっている。悪魔クルピラは、実際にインディオたちに、その存在が信じられ、たいへん恐れられていた。

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ホプリアス・クルピラは、インディオ伝説の小悪魔の名を冠している

上写真は、ブラジル・パラ州のトカンチンス河水系の支流イタカイウーナ川で採集されたホロタイプの標本である。標準体長が158mmで、全長は20センチ強だろう。記録されている最大の標本は、標準体長296mmで、全長は40センチを超える。オレは、ネグロ河などでもっと大きい個体も観察している。しかし、全長60センチを超えるのかどうかは、定かでない。

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ネグロ河中流の全長50センチ級のホプリアス・クルピラ

上写真をご覧になって、もし、今まで並べてきたいろいろなホプリアス写真と違った印象を受けられたら、貴兄の感性は鋭い。そう、大型になっても頭の大きさに比例した眼球径が大きいのである。
この眼が大きいという特徴ゆえに、ホプリアス・クルピラは、後述するホプリアス・アイマラ(真正タライロン類)とずいぶん混同されてきた。ブラック・タライロン、あるいは、「ナントカ・タライロン」と熱帯魚業界で呼ばれているよく判らない種類の多くが、本種に帰結できるだろうと思われる。
ホプリアス・クルピラは、眼の大きさ以外にも、他のラセルダエ・グループと異なった特徴をいくつか持っている。前述した検索キーにあるように、側線の鱗数は、ラセルダエ・グループで最も少ない。そのため鱗が大きめの印象を受ける。
下顎のパッチは必ず4個であるが、成長につれて形状が変化する。小型個体(標準体長60mm以下)では、他のラセルダエ・グループと同じように単独である。それ以上の個体になると、それが分散して小さな点状(下のイラスト参照)となって増えていく。

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A:標準体長55.5mmの個体、B:標準体長92.2mmの個体、C:標準体長162.2mmの個体

上のイラストでも窺われるが、成長に従って頭の幅が大きくなっていくのも本種の特徴である。そのために大型なると、頭部が扁平な感じを程するようになる。下がそれらを示したグラフである。黒丸がホプリアス・クルピラ、白丸が他のラセルダエ・グループの計測値となっている。

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ホプリアス・クルピラは、大きくなるほど頭の幅が増す

ホプリアス・クルピラの天然の分布は、オリノコ&アマゾン系であるが、ギアナ三国の独立河川でも確認されている。オリノコ河では、ネグロ河との連結水路であるカッシッキアーレ周辺の上流部に生息する。アマゾン河の北岸では、トロンベッタス川、ニャムンダ川、ネグロ河など。ネグロ河では、源流部のウァウペス川でも確認されている。アマゾン地方の南岸では、パラ河(アマゾン河河口部にあるマラジョ島の南の水路)に注ぐカッピン川、モジュー川、トカンチンス河など。シングー河、タパジョース河などに生息している。
南方のラ・プラタ河水系にはいないとされるが、パンタナルに近い渓流でそれらしいヤツを観たことがある。分布地図のポイントは、保管記録されている標本が採集された場所だけを記してあるもので、実際には、もっと分布地が広い可能性がある。ペルー・アマゾン地方にも分布がありそうである。
現在のところ、オリノコ&アマゾン系などの同タイプのクルピラは、1種類に統括されているが、いくつかのタイプ、あるいは別種に分けられる可能性もあるだろう。オレの知見でも、やけに真っ黒な個体群、やや淡色の個体群、顔つきが異なる感じのする個体群を確認している。

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スリナムのマモリ川で採集された個体

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アマゾン北岸ニャムンダ川のクルピラ種と思われる真っ黒な個体
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