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ホプリアスの大研究・その5

C.アイマラ・グループ(リアル・タライロン・グループ)
Hoplias amara - GROUP


アイマラ・グループは、いわゆるリアル・タライロンである。2006年、オズヴァルド・オヤカワ、ジョージ・マトックス、モニカ・トレードらは共著で、アイマラ・グループのホプリアス分類についての論文を発表した。それ以前のアイマラ・グループは、以下の2種とされていた。

Hoplias aimara (Valenciennes 1847).
Hoplias macrophthalmus (Pellegrin, 1907)


オヤカワらは、この論文でアイマラ種とマクロフタルムス種は、まったくのシノニム(別名同種)であるという結論をだした。実際のところ、ヴァランシエネスのホロタイプとペレグリンのそれの採集地は、両者共にフランス領ギアナのカイエンヌで、まったくの同一地点なのである。アイマラ種の記載が、1846年。マクロフタルムス種が1904年だから、動物命名規約に基づいて、先取権利のあるアイマラが生き残った。

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ホプリアス・アイマラのホロタイプ(標準体長76.5cm)

ヴァランシエンヌが記載に使ったホプリアス・アイマラの標本は、全長1メートルもの巨大個体である。一方のホプリアス・マクロフタルムスは、全長40センチくらいの標本だった。このサイズでの形態の差異を、ペレグリンは別種であると解析したようである。

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ホプリアス・マクロフタルムスのホロタイプ(標準体長27.5cm)

以上の経緯で、アイマラ・グループのホプリアスは、現在のところ1種類のみが正式に記載されているということになっている。本編でもマクロフタルムス種は、アイマラ種と同じ魚であるとして話しを進めるが、アイマラ・グループは、生息地域による明らかな違いが認められる。
ちなみに、タライロンは、タライーラ(ホーリー)にラオン(大きい……)というポルトガル語の接尾形容詞をつけたもので、インディオ語のタライアスーと同様に、「巨大なホーリー」を意味するブラジル語である。
ホプリアス・アイマラの側線鱗数は、42~45と計測されているが、グループの検索キーとなる主な外観上の特徴は、以下の2点である。

CⅠ.左右の下顎骨は、平行に伸びて、先端で湾曲する(U字型)。
CⅡ.エラ蓋の外縁膜の真ん中辺りに、黒い斑がある


アイマラ・グループに含まれるホプリアスは、エラ蓋の外縁膜の真ん中辺りに、黒い斑紋(下写真参照)があることを最大の特徴としている。この特質は、他のグループの全てのホプリアス種には、まったく見られない。この黒斑は、一般に小型個体で小さく、成長すると大きくなる傾向がある。

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アイマラ・グループの最大の特徴である黒斑(シングー河)

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ホプリアス・アイマラの稚魚(標準体長25mm)

上イラストは、フランス領ギアナで採集されたホプリアス・アイマラと思われる稚魚である。全長が4センチほどの個体では、エラ蓋の外縁膜の黒斑は、まだ明瞭でない。

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鰓蓋外縁の黒斑は小型個体では小さい(上:標準体長46.9mm、下:標準体長355.3mm)

標本写真の上は、全長8センチくらいだが、小さいながらエラ蓋の外縁膜の黒斑が認められる。全長が10センチ以上あれば、間違えることはないだろう。
鰓蓋外縁の黒斑は、個体によっての形や大きさに変異がある。現時点で確実ではないが、もう少し研究が進めば、この黒斑の形や大きさの差異を検索キーとして地域個体群を識別できる可能性がある。

少々専門的に過ぎるかもしれないが、ホプリアス・マラバリクスとホプリアス・アイマラの頭骨の構造の違いも、参考までに挙げておこう。下のイラストは、頭骨と上顎骨の内側観である。

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ホプリアス・マラバリクス(A)と、ホプリアス・アイマラ(B)の頭骨と上顎骨

ホプリアス属の魚には、上顎骨(▲)の内側に歯の密集したエクトプテリゴイド(●)と呼ばれる骨があるが、ホプリアス・マラバリクスでは、その前方にエクトプテリゴイド・アクセサリーという付属物(★)がある。しかし、ホプリアス・アイマラには、それがない。
一般的な熱帯魚ホビー解説でなくなったついでに、ホプリアス・マラバリクス(A)、ホプリアス・ラセルダエ(B)、ホプリアス・アイマラ(C)の歯並びのイラストも下に挙げしまおう。この3種には、若干の違いがある。コニカルな歯の大きさは、(A)、すなわちホプリアス・マラバリクスで最もばらつきがある。矢印は、下顎の歯の台座が盛りあがっている部分である。上顎もこの部分で湾曲している。彼らの顔つきの違いは、この形状が影響しているのである。

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ホプリアスを代表する3種の下顎の歯の並びかた

リアル・タライロンの特徴として、熱帯魚雑誌に「眼球が大きい」としばしば記述されている。これについては、オヤカワら(2006)が下のグラフのように検証している。白丸がマラバリクス・グループ、黒丸がアイマラ・グループである。白丸群は、黒丸群に比べて傾斜角度が低い。すなわち、白丸群のほうが、成長するほど頭の大きさに対して、眼球径が小さくなることを示している。

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マラバリクス・グループ(○)とアイマラ・グループ(●)の眼球と頭長の比率

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マラバリクスとアイマラの顔比較

上は、眼径と頭部の比率を示すための写真である。ホプリアス・マラバリクスでは、小型個体(A-1)では大きいが、大型個体(A-2)では小さく見える。ホプリアス・アイマラでは、小型個体(B-1)でも大型個体(B-2)でも大きく見える。黒目部分の大きさも、前者より後者のほうが大きいようである。

アイマラ・グループの分布地域

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アイマラ・グループの分布

印をつけた地点が、アイマラ種とマクロフタルムス種の記載の原産地、フランス領ギアナのカイエンヌである。アイマラ・グループのホプリアスは、アマゾン河水系、オリノコ河水系、その2つの間にある大西洋沿岸独立河川に分布し、ラ・プラタ河水系からの報告はない。
同グループの個体群は、大きくアマゾンの北方(ノーザン)とアマゾン南岸(サザン)に区別できる。

C1a.ノーザン・タライロン(群)

Hoplias amara

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ノーザン・タライロン若魚(ブラジル・アマパ州、アラグァリ川)

ノーザン・タライロン群の幼魚~若魚サイズの体色は、明るめである。他のグループのホプリアスにやや似ているが、全長10センチを超えれば、エラ蓋の外縁膜に小さい黒い斑点がちゃんとある。

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ノーザン・タライロン群の成魚(フランス領ギアナ、シナマリー川)

ノーザン・タライロンは、成長するに従って黒色を程するようになるが、やや赤味~オレンジ味がかった体色が残る。ボディに金属片のような輝きが、うっすら浮かぶ個体もいる。
ノーザン・タライロンの最大サイズは、40キロという記述がある。一般に巨大と呼べるのは、10キロ以上だろう。20キロあれば、優に1メートルを超えるが、大物になる程に、上写真のように腹部が太って重くなるため、超最大級でも1.5メートルは超えないと思われる。
ノーザン・タライロンは、ブラジル領内ではアマパ州のアラグァリ川、その他の独立小河川に生息している。ブラジルのアマパ州からギアナ三国(フランス領ギアナ、スリナム、ガイアナ)にかけての独立河川は、取り立てて大きくはない。しかもタライロンが生息するのは、主にその上流部である。川幅が10メートルに満たないような清流にも、そこに似つかわしくない怪物が潜んでいる。
アマゾン水系支流でも、オレ個人で秘かに数箇所を確認している。例えば、ジャリ川、トロンベッタス川、ウァトマン川支流のジャタプー川の奥地などである。
ヴェネズエラでは、オリノコ河の南岸下流部の支流、パラグァ川、ナウラ川、リマ川、グァナレー川などに生息する。コロンビアのオリノコ河支流にいる確かな情報も得ている。
ブラジルでの呼称は、もちろんタライロンと呼ばれる。原記載地のフランス領ギアナでは、アイマラと呼んでいる。これが種小名の由来である。スリナム、ガイアナでは、アニョマラとも呼ばれる。

C1b.サザン・タライロン(群)
Hoplias cf. amara

サザン・タライロンは、ブラジルのタパジョース河とシングー河の個体群である。河川系や支流によって、色彩や最大サイズに違いが観られるが、とりあえず一群としておこう。ブラジルでタライロンと呼ばれている。
ここの個体群は、熱帯魚雑誌、スポーツ・フィッシング雑誌やサイトなどで、シノニムで消されたマクロフタルムスという種名が充てられることが多かった。
現時点の文献では、両者は共にホプリアス・アイマラであるとされているが、本編ではとりあえず、サザン・タライロンをHoplias cf. amara としておいた。属名(ホプリアス)と種小名(アイマラ)の間にあるcf. (コンファーと読む)は、「たぶん、この種じゃないかな?」という意味である。将来的に、この個体群は、新種として記載される可能性も残されている。

ho-01-35.jpg
サザン・タライロン群の成魚(タパジョース河水系、ブラッソ・ノルテ川)

ノーザン・タライロン群とサザン・タライロン群の最大のサイズは、おそらく、どっこいどっこいだと思われる。タパジョース河やシングー河では、20キロくらいまでは、現在でも、しばしば釣り人のトロフィーになっている。最大級の個体は、35キロに達すると考えられる。

まだ情報が多くないタライロン群(群)
Hoplias cf. amara

上記したノーザン・タライロン()群とサザン・タライロン()群の他に、アイマラ・グループとされるホプリアスの生息地が記録されている。群は、アマゾン地域の南岸のトカンチンス河の個体群である。エラ蓋の外縁膜の黒斑は、小さめで乱れる傾向があるようである。標本で記録されている最大の標準体長は、231mmしかない。数多くの釣り人が入っているトカンチンス河流域で、巨大なタライロンが釣られたという情報はまだない。
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まとめteみた.【ホプリアスの大研究・その5】

C.アイマラ・グループ(リアル・タライロン・グループ)Hopliasamara-GROUPアイマラ・グループは、いわゆるリアル・タライロンである。2006年、オズヴァルド・オヤカワ、ジョージ・マトックス、モニカ・トレードらは共著で、アイマラ・グループのホプリアス分類について?...

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